病気を治すのは「いのちの力」 (7)

ボランティア・コンサート

執筆者:髙本眞一 2015年1月10日
カテゴリ:
エリア: アジア

 私は、音楽とは生きる喜びであり、ときには、生きる悲しみにつながっているのだと感じています。人間はうれしいときにも、悲しいときにも歌を歌います。生きることと音楽は切っても切れない関係にあるのです。健康な人の心も揺らす音楽ですから、病を得た患者さんの心には、よけい響くことは容易に想像できます。患者さんには、音楽は天使が奏でる調べに聞こえるのではないでしょうか。三井記念病院では患者さんの為に一月に一度ボランティア・コンサートが開かれています。

 ボランティア・コンサートを聴きに来られる患者さんの中には手術待ちの方、手術が終わってほっとした方、内科の病気で手術はしないけど点滴治療を受けている方やそのご家族やお見舞いに来られた方などがおられます。車いすや移動用のベッドで来られる方もおられます。闘病生活の中で、ひと時でもほっとする時間を持ちたいと思われているのだろうと思います。

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執筆者プロフィール
髙本眞一(たかもとしんいち) 1947年兵庫県宝塚市生れ、愛媛県松山市育ち。73年東京大学医学部医学科卒業。78年ハーバード大学医学部、マサチューセッツ総合病院外科研究員、80年埼玉医科大学第1外科講師、87年昭和病院心臓血管外科主任医長、93年国立循環器病センター第2病棟部長、97年東京大学医学部胸部外科教授、98年東京大学大学院医学系研究科心臓外科・呼吸器外科教授、2000年東京大学医学部教務委員長兼任(~2005年)、2009年より三井記念病院院長、東京大学名誉教授に就任し現在に至る。この間、日本胸部外科学会、日本心臓病学会、アジア心臓血管胸部外科学会各会長。アメリカ胸部外科医会(STS)理事、日本心臓血管外科学会理事長、東京都公安委員を歴任。 ↵手術中に超低温下で体部を灌流した酸素飽和度の高い静脈血を脳へ逆行性に自然循環させることで脳の虚血を防ぐ「髙本式逆行性脳灌流法」を開発、弓部大動脈瘤の手術の成功率を飛躍的に向上させたトップクラスの心臓血管外科医。
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