病気を治すのは「いのちの力」 (15)

東大医学部で繰り広げられる「講座の縄張り争い」

執筆者:髙本眞一 2015年3月7日
タグ: アメリカ 日本

 ほとんどの旧国立大学には、たいてい寄付講座というものがあります。正規の講座とは別に、企業や行政から寄付を受けてつくられる講座のことを言います。
 特に理系の場合には、学問がどんどん進歩して先端研究などを正規の講座でカバーするのが困難になってきており、近年、寄付講座の設立が多くなっています。

 大学は、独立行政法人化以降、資金のやり繰りには厳しいものがあり、新たな学問領域の研究を企業の寄付金によって実施できるので、寄付講座を大歓迎します。企業も、その成果が実るのは遠い将来になるかもしれませんが、先端の研究の進展に貢献しているというステータスをアピールできますし、自社製品の開発技術に応用する可能性も期待できます。
 したがって大学としては、開設自体にはリスクはないので、設立趣旨が正当で寄付金さえ集まれば、ほとんどの寄付講座が成立します。

カテゴリ: 医療・サイエンス
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