饗宴外交の舞台裏 (113)

日米関係立て直しに寄与した「アキエ・ローラ」の夫人外交

執筆者:西川恵 2007年6月号
エリア: 北米

 安倍晋三首相が昭恵夫人と四月二十六、二十七日の両日、初訪米した。首相就任から七カ月。満を持しての訪問だった。 安倍首相を迎える米国政府には、この訪問を、両首脳が北朝鮮の核、温暖化対策、イラク復興問題などの幅広いテーマについて突っ込んだ意見交換をする一方、くつろいだ中で個人的関係を深める機会にしたいとの狙いがあった。 ブッシュ大統領と親密な関係を築いた前任者の小泉純一郎首相は、訪米の度に手厚いもてなしを受けてきた。安倍首相が前任者と比してどのようなもてなしを受けるか日本の世論が注視していることも、米当局者の念頭にはあったはずである。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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