諸般の事情があって早めの夏休みを取り、6月のロンドンを観光旅行してきた。ポンドが高くて円が安いので、物価高を全身で受け止めることになってしまったが、まことに良い季節をエンジョイできた。冬が長くて暗い英国では、この時期の到来を皆が待ち望んでいる。日本のような湿気はないし、空は抜けるように青いのだ。
なるほど「6月の花嫁」という言葉は、こういう季節のことを言っていたのかと得心がいった。以前から、梅雨のじめじめした時期の日本で、「ジューンブライド」を持て囃すのはどこか変だなと思っていた。一説によればこの言葉は、日本のホテルや式場が毎年、挙式が少なくなるこの時期を乗り切るために、「欧州では6月の花嫁は幸福になるんですって!」と喧伝したのが発端であったのだそうだ。
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