国の「原発無策」が塞ぐ「東芝」再生の道筋

執筆者:磯山友幸 2016年5月19日

 巨額の粉飾決算の末、事実上の“解体”に追い込まれている東芝が5月12日、2016年3月期の連結決算を発表した。営業損益は7191億円の赤字、最終損益でも4832億円の赤字となったが、これはあくまで今後存続する「継続事業」の決算数字。売却したヘルスケア事業や株式譲渡契約を結んだ家電部門の損益は含まれていない。また、将来戻ってくると見込んでいた税金資産の取り崩しによる損失や、売却した東芝メディカルシステムズの売却益、投資資産の評価損計上などもあり、実態が見えにくい決算になっている。

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執筆者プロフィール
磯山友幸(いそやまともゆき) 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト活動とともに、千葉商科大学教授も務める。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』 (PHPビジネス新書)、『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、『破天荒弁護士クボリ伝』(日経BP社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。
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