難民問題とドイツ(3)「安全保障会議」は「反NATO派」に乗っ取られた?

執筆者:佐瀬昌盛 2016年7月26日
ドイツではすこぶる評判が悪かったコンビ(C)EPA=時事

 

 前回に予告しておいた「ミュンヘン国際安全保障会議」(Münchner Sicheheitskonferenz)」について、その歴史と活動の概略をまず眺めることにしよう。

 それは、1963年の誕生当時には「ミュンヘン国防知識会合」(Internationale Wehrkunde-Begegnung)を名乗ったが、当初はさほど国際的に注目されたわけではなかった。それでも当時の出席者の中には、米国のヘンリー・A・キッシンジャー・ハーバード大学教授(当時)やヘルムート・シュミット・ハンブルク市・内相(当時)の名が見出せた。ともに後年、米・西独両国の外交・安全保障政策を担うことになる人物である。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
佐瀬昌盛(させまさもり) 防衛大学校名誉教授。1934年生れ。東京大学大学院修了。成蹊大学助教授、防衛大学校教授、拓殖大学海外事情研究所所長などを歴任。『NATO―21世紀からの世界戦略』(文春新書)、『集団的自衛権―論争のために』(PHP新書)など著書多数。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top