饗宴外交の舞台裏 (219)

天皇陛下「生前退位」で考える世界の王室の現状

執筆者:西川恵 2016年8月15日
表明に至るまでのご心中はいかばかりか……(C)時事

 

 天皇陛下が生前退位の意向を示唆されたことを機に、皇室や王室など、現代における君主制の役割に改めて注目が集まっている。君主国にはどのような国があって、どのような顔ぶれなのか。新しい世代への譲位はうまくいっているのか、君主制のリスクとは何か……。以下、今回はいつもの「饗宴外交」から趣向を変え、「現代君主考」である。

 

社会の安定装置

 君主国ファミリーは現在世界に29カ国ある。20世紀になった頃、世界には100を超える君主国があった。しかし革命や政変によって、最高権力者を選挙で選ぶ共和制へと転換する国が相次ぎ、現在は1世紀前の3分の1以下となった。

カテゴリ: 政治 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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