2つの「レッドライン」を越えた金正恩氏(上)保衛省犯行の「怪」と金元弘氏解任の「点と線」

執筆者:平井久志 2017年3月2日
エリア: アジア
昨年5月、第7回朝鮮労働党大会開催を祝う市民パレードを、金日成広場の壇上から見る金元弘氏(右)。金正恩氏の最側近のひとりだったが (c)時事

 金正男(キム・ジョンナム)氏がマレーシアのクアラルンプールで暗殺されて約2週間が過ぎた。テレビのワイドショーを含め日本のメディアは連日、大騒ぎを続けているが(筆者もその1人かもしれないが)、長年、北朝鮮をウオッチしてきた者としては、今回の事件に何とも言えない失望感を抱いてしまう。

 北朝鮮は特異な国ではあり、われわれは同意しがたいが、北朝鮮なりの論理があり、それは、それで、北朝鮮はそういう道を行くのか、と思わせるようなことも時々ある。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top