「憲法改正といえば9条から」というのが筆者周辺の多くの人々の合言葉なのだが、それは難しいことらしく、「自民党は先ずは緊急事態条項で憲法改正を突破しようとしている」とマスコミは報じ、同時に、これに反対のジャーナリスト・学者などを動員して「この緊急事態条項が如何に危険であるか」とキャンペーンを張っている。
その反対学者の若手代表とも言える木村草太・首都大学東京教授(憲法学)は、「世界の多くの憲法に緊急事態条項があることは事実だが、各国憲法はそれが政府の独裁とならないように発動条件を厳格に定め、さまざまな歯止めを準備している。それに引き換え2012年に発表された自民党憲法改正草案『第98条(緊急事態の宣言)・第99条(緊急事態の宣言の効果』の発動要件はきわめて曖昧であり、国会承認は事後でも良いとされていて手続き的歯止めはかなり緩い」「自民党草案のような内閣独裁条項は比較法的に見ても異常だと言わざるを得ない」と言っている。
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