後継者候補もあえなく「落馬」:「1強体制」固めに走る「習近平」

執筆者:村上政俊 2017年7月31日
エリア: アジア
今年3月の全国人民代表大会で、汪洋副首相(左)と話す孫政才・前重慶市党委書記 (C) AFP=時事

 

 中国共産党トップ25(政治局委員)の1人である孫政才・重慶市党委員会書記(53)が失脚した。「重大な規律違反の疑い」のためだという。その後任に据えられたのは、筆者が昨年3月の記事(2016年3月22日「炭鉱労働者が激怒した『ポスト習近平』有力候補の『失言』」)で注目した習近平側近の陳敏爾・前貴州省党委員会書記(56)だった。背後には何があったのか。

異例のスピードで出世

 孫政才は、これまで順調に出世街道を駆け上がってきた。2006年12月に温家宝首相のもとで農業部長に就任。2009年12月には46歳の若さで吉林省トップの座(党委書記)に就いた。習近平ですら省トップの座に就いたのが49歳だったことからも、スピード出世ぶりがわかろう。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
村上政俊(むらかみまさとし) 1983年7月7日、大阪市生まれ。現在、同志社大学嘱託講師、同大学南シナ海研究センター嘱託研究員、皇學館大学非常勤講師、桜美林大学客員研究員を務める。東京大学法学部政治コース卒業。2008年4月外務省入省。第三国際情報官室、在中国大使館外交官補(北京大学国際関係学院留学)、在英国大使館外交官補(ロンドン大学LSE留学)勤務で、中国情勢分析や日中韓首脳会議に携わる。12年12月~14年11月衆議院議員。中央大学大学院客員教授を経て現職。著書に『最後は孤立して自壊する中国 2017年習近平の中国 』(石平氏との共著、ワック)。
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