「汚染水処理」で剥げ落ちた「東電」「規制委」トップのメッキ

執筆者:安西巧 2017年9月11日
タグ: 日本 原発
エリア: アジア
7月10日、原子力規制委員会の意見聴取で、規制委の田中委員長(右から2人目)らから突き上げをくらった東電力の小早川社長(左)と川村会長(左から2人目)。川村会長もこの頃は能弁だったのだが……(C)時事

 

 福島第1原子力発電所(フクイチ)事故で事実上破綻して6年、国有化されて5年――。そんな東京電力ホールディングスの「救世主」として、今年6月に鳴り物入りで迎えられた会長の川村隆(77)率いる新経営体制が、早くも壁に突き当たっている。発足直後の報道インタビューで、放射性物質トリチウム(三重水素)の残る汚染水を海洋放出する方針を固めたと「明言」し、大騒ぎになったことは周知の通り。漁業団体などの猛反発ですぐに取り消したものの、川村が「判断したとは言っていない。意味が違う」と、通り一遍の釈明で済ませようとしたことが、関係者の不信感を一段と増幅させた。日立製作所のV字回復の功労者という“金看板”はあっという間にメッキが剥がれ落ちてしまった。

カテゴリ: 環境・エネルギー
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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