福島第1原子力発電所(フクイチ)事故で事実上破綻して6年、国有化されて5年――。そんな東京電力ホールディングスの「救世主」として、今年6月に鳴り物入りで迎えられた会長の川村隆(77)率いる新経営体制が、早くも壁に突き当たっている。発足直後の報道インタビューで、放射性物質トリチウム(三重水素)の残る汚染水を海洋放出する方針を固めたと「明言」し、大騒ぎになったことは周知の通り。漁業団体などの猛反発ですぐに取り消したものの、川村が「判断したとは言っていない。意味が違う」と、通り一遍の釈明で済ませようとしたことが、関係者の不信感を一段と増幅させた。日立製作所のV字回復の功労者という“金看板”はあっという間にメッキが剥がれ落ちてしまった。
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