難民問題とドイツ(6)メルケル「失言」報道で見せた「スイス紙」の見識
2017年2月17日に行われたミュンヘンでの「国際安全保障会議」より2週間ほど前の2月2日、メルケル首相はトルコを公式訪問していた。会談相手はレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領とビナリ・ユルドゥルム首相であったが、大統領との会談でメルケル首相はちょっとした失敗をやらかしてしまった。
「イスラムのテロ」発言
同日にテレビ局『ドイチェ・ヴェレ』が報じたところによると、エルドアン大統領はメルケル首相が膝詰め会議中に「イスラムのテロ」という表現を使ったのをいちはやく捉えて、これに異を唱えた。イスラムとテロとは何の関係もない、と言うのである。大統領に言わせると、「イスラムが意味するところは、平和だ」とのこと。「イスラム教徒である大統領」として、自分はイスラムとテロを結び付けるような表現を認めるわけには参らぬ、と大変な剣幕である。やむなくメルケル首相は、ドイツでの反テロリズム闘争ではドイツ在住イスラム教徒との緊密・強固な団結があると弁解せざるを得なかった。そして口を酸っぱくして、ドイツではいかに自国市民と在住トルコ人が協力し合っているかを力説せざるを得ない羽目に陥ったのである。
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