連載小説 Δ(デルタ)(32)

執筆者:杉山隆男 2017年11月25日
エリア: アジア
沖縄県・尖閣諸島の魚釣島と北小島、南小島 (C)時事

 

【前回までのあらすじ】

巡視船「うおつり」を乗っ取った愛国義勇軍のメンバーが魚釣島に上陸したとの情報は、総理官邸危機管理センターに集まった緊急参集チーム(キンサン)も届いた。チームを率いる危機管理監の門馬は、何度も修羅場をくぐった警察官僚時代のことを思い出しつつ、指示をてきぱきと出し続けていた。

 

26(承前)

 制服姿になった門馬には、脳裏に必ず浮かんでくる言葉があった。

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執筆者プロフィール
杉山隆男(すぎやまたかお) 1952年、東京生れ。一橋大学社会学部卒業後、読売新聞記者を経て執筆活動に入る。1986年に新聞社の舞台裏を克明に描いた『メディアの興亡』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。1996年『兵士に聞け』で新潮学芸賞受賞、以後『兵士を見よ』『兵士を追え』とつづく「兵士シリーズ」は7作目の『兵士に聞け 最終章』で完結した。ノンフイクション、小説、エッセイなど精力的に執筆し、『汐留川』『昭和の特別な一日』『私と、妻と、妻の犬』など著書多数。
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