マネーの魔術史 (37)

ドイツ社会に深い傷を残したインフレ税の不当な負担

執筆者:野口悠紀雄 2018年2月8日
タグ: ドイツ 日本
エリア: ヨーロッパ
(C)AFP=時事

 

 戦争遂行のため、それまで国民生活に必要な財の生産に使っていた資源を、武器や弾薬の生産に振り向けなければならない。どうすれば良いか?

 計画経済であれば、そのように生産計画を切り替える。そして国民への配給量を削減する。

 市場経済の国では、まず増税を行う。

 しかし、それだけで戦費を賄うのは、難しい。そこで国債を発行する。国民が貯蓄で購入してくれればよいが、限度がある。そこで外債を発行して外国から借りる。日本は、日露戦争において、この方法に大きく頼った。しかし、これにも限度がある

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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