マネーの魔術史 (39)

ソ連革命政府は紙幣増発に頼ってインフレに

執筆者:野口悠紀雄 2018年2月22日
エリア: ヨーロッパ
(C)AFP=時事

 

 1917年3月、ロマノフ朝ロシア帝国は、2月革命によって崩壊した。同年11月7日、10月革命によってソビエト社会主義共和国連邦が成立した。多くの人が夢見た共産主義国家が地上に出現したのだ。

 ウラジーミル・レーニンは、貨幣の廃絶を唱えていた。

 革命後の経済は、物動計画、つまり政府が策定する資源の行政的配分によって運営される。 人々は必要に応じて、必要とするものを与えられる。だから、貨幣は不要となり、労働者の天国が出現するはずであった。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top