ホテルのボーイから電子キーまで:シンガポールで始まっている「米中情報戦争」

執筆者:春名幹男 2018年6月11日
エリア: 北米 アジア
6月10日、シンガポール・パヤレバ空軍基地に到着したトランプ米大統領。情報戦争はすでに始まっている (C)AFP=時事

 

 シンガポールの米朝首脳会談。陰の主役は中国だ。中国の習近平国家主席は、3月8日にドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働委員長からの会談要請に2つ返事で同意して以後、北朝鮮との接触を急速に拡大してきた。

 米朝首脳会談開催でキーマンとなったマイク・ポンペオ米国務長官(前米中央情報局=CIA=長官)は過去2回訪朝したが、なぜかその2回とも、直前の3月25~28日と5月7~8日と、巧みに金委員長の訪中が急きょ組み込まれていた。ポンペオ訪朝は3月31日~4月1日と5月9日だった。また、北朝鮮高官らを中国ハイテク施設に招いたりもした。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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