風の向こう側 (27)

「全英オープン」初制覇モリナリ「静」の戦い方

執筆者:舩越園子 2018年7月25日
エリア: 北米 ヨーロッパ
「クラレットジャグ」を手にイタリア人初のメジャー制覇の喜びを語るモリナリ(C)EPA=時事

 

 ゴルフ好きなら、1995年の「全英オープン」の大詰めを覚えている人は多いことだろう。

 恰幅のいいイタリア人のコンスタンチノ・ロッカが18メートルほどもあった長い長いパットを奇跡のように沈め、米国の人気者だったジョン・デーリーとのプレーオフへ突入。しかし、聖地セント・アンドリュースを最後に沸かせたのは、ロッカではなくデーリーだった。

 1991年「全米プロ」を無名の新人ながら制し、シンデレラボーイと呼ばれて一気にスターになったデーリーは、あの95年の全英オープンの大詰めで、右こぶしをぶんぶん振り回しながら大観衆を煽り、人々は「ゴー、ジョン! ゴー、ジョン!」を連呼していた。

カテゴリ: スポーツ カルチャー
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執筆者プロフィール
舩越園子(ふなこしそのこ) ゴルフジャーナリスト、2019年4月より武蔵丘短期大学客員教授。1993年に渡米し、米ツアー選手や関係者たちと直に接しながらの取材を重ねてきた唯一の日本人ゴルフジャーナリスト。長年の取材実績と独特の表現力で、ユニークなアングルから米国ゴルフの本質を語る。ツアー選手たちからの信頼も厚く、人間模様や心情から選手像を浮かび上がらせる人物の取材、独特の表現方法に定評がある。『 がんと命とセックスと医者』(幻冬舎ルネッサンス)、『タイガー・ウッズの不可能を可能にする「5ステップ・ドリル.』(講談社)、『転身!―デパガからゴルフジャーナリストへ』(文芸社)、『ペイン!―20世紀最後のプロゴルファー』(ゴルフダイジェスト社)、『ザ・タイガーマジック』(同)、『ザ タイガー・ウッズ ウェイ』(同)など著書多数。最新刊に『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)がある。
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