「人手不足」と外国人 (25)

「幸せの国」ブータン留学生の「不幸せ」な実態(4)ブローカーの「詭弁」

執筆者:出井康博 2018年8月28日
エリア: アジア
BEOが留学生に渡した費用明細。日本大使館への「手土産代」まで計上されている(筆者撮影)

 

 ブータン初の日本語学校「ブータン日本語学校」の校長であり、留学斡旋会社「ブータン・エンプロイメント・オーバーシーズ」(BEO)の経営者ジュルミ・ツェワン氏の妻でもある青木薫氏は、『朝日新聞』、さらには内閣府も認めるような「輝く女性」なのだろうか。それとも営利目的で、夫とともにブータンの若者たちを日本へと斡旋しているだけなのか。

 7月8日、青木氏とツェワン氏に対し、フォーサイト編集部から取材依頼と質問状を送ってみた。送った先はブータン日本語学校のアドレスである。そして確認の電話を学校に入れると、日本語教師を務める日本人女性が応対した。青木氏は日本に一時帰国中で、携帯番号すら知らされていないという。取材依頼のメールについても、またツェワン氏が経営するBEOという会社についても「何も知らない」との答えだった。

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執筆者プロフィール
出井康博(いでいやすひろ) 1965年、岡山県生れ。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『日経ウィークリー』記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)を経てフリーに。著書に、本サイト連載を大幅加筆した『ルポ ニッポン絶望工場」(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『松下政経塾とは何か』(新潮新書)など。最新刊は『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)
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