「人手不足」と外国人 (55)

アベノミクス継承「菅政権」は「留学生30万人計画」の悲劇防げるか(下)

執筆者:出井康博 2020年9月23日
エリア: アジア
まずは「留学生30万人計画」の誤りを認め、即刻廃止すべき(C)時事
 

 9月16日に内閣総辞職した安倍晋三政権は、留学生の就職率を上げる方針も打ち出し、「留学生30万人計画」と並んで成長戦略に掲げた。その結果、日本で就職する留学生の数は、2018年には過去最高の2万5942人に達し、2012年の約2.4倍にも膨らんでいる。

 この政策を安倍政権は、「優秀な外国人材」の確保策だと位置づけて推進した。留学生は「優秀」との前提に立ってのことである。

 しかし留学生には、少なくとも学力や語学力の面で「優秀」とは呼べない偽装留学生が数多く含まれる。そんなことには全く触れず、留学生の就職を増やしていった。それもまた、低賃金の労働者を確保するためである。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
出井康博(いでいやすひろ) 1965年、岡山県生れ。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『日経ウィークリー』記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)を経てフリーに。著書に、本サイト連載を大幅加筆した『ルポ ニッポン絶望工場」(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『松下政経塾とは何か』(新潮新書)など。最新刊は『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)
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