灼熱――評伝「藤原あき」の生涯(8)

執筆者:佐野美和 2018年9月9日
タグ: 日本
エリア: アジア
まだ髷を結っていた頃の藤原あき。正確な撮影年は不詳。この後、あきは波瀾万丈の人生を送ることになる(自伝『雨だれのうた』(酣燈社)より)

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 学習院女学部の上級となった中上川あきは、膨らみをおびてきた胸とは裏腹に着物の上からもまだ少女らしい華奢な体つきがわかる。

 背が高く大人びた目鼻立ち、常に堂々とした物腰は、校内でもかなり目立つ存在だった。先生が黒板に書く問題もすらすらと解いてしまい、級友たちが頭をひねり考えているのを尻目に、「中上川さんもう出来たかね?」と帳面を見にきた先生とたわいもない話をする。

カテゴリ: 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
佐野美和(さのみわ) 政治キャスター。東京都八王子市出身。株式会社チェリーブロッサムインターナショナル代表取締役。大学在学中、フジテレビの深夜番組として知られる『オールナイトフジ』のレギュラーメンバー「オールナイターズ」の一員として活躍した。1992年度ミス日本に選ばれる。TBSラジオのパーソナリティ、TBSラジオショッピングの放送作家を経て、1995年から2001年まで八王子市議会議員として活動。以後はタレントとしてテレビ出演のほか、講演会も精力的に行う。政治キャスターとしてこれまで600人以上の国会議員にインタビューしている。主な書籍に『アタシ出るんです!』(KSS出版)、『あきれたふざけた地方議員にダマされない!』(牧野出版)などがある。
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