「君主号」の世界史
(14)
「皇帝(インペラトール)」と「帝国(インペリウム)」

ローマ美術の代表作と称される「プリマポルタのアウグストゥス」。バチカン美術館蔵
「命令権(インペリウム)」の濫立を収束し、「平和」を現出したアウグストゥス。しかしかれの事業は、それでおわらない。むしろそこからはじまった。かれはまだ、30代前半なのである。
アウグストゥスの事業
平和の回復なら、前例に事欠かない。ライヴァルに勝利し、リーダーシップを確立するだけなら、スラもカエサルも、その天才でやってのけたことである。しかしそれが永続するとは限らない。かれら本人が歿すれば、またぞろ「内乱」がおこった。せっかく一元化したリーダーシップ・「命令権」が、拡散紊乱をくりかえしたからである。

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