「君主号」の世界史 (30)

大日本帝国の滅亡

執筆者:岡本隆司 2019年5月18日
エリア: アジア
「大日本帝国」の「皇帝」であった、1941(昭和16)年8月の昭和天皇。この4年後、その両方が滅亡した (C)AFP=時事

 

 自らに向けられた目に鈍感で、国際的な感覚に疎いというのは、どうやら日本史・日本人の拭いがたい習性のようである。「天皇」号を称した古代、「日本国王」を拒んだ中世、「大君」外交体制の近世、いずれもそうであった。

 しかし近代日本は、「皇帝」号にせよ「帝国」号にせよ、外からの位置づけとその翻訳でできた国家のはずである。にもかかわらず、その歴史を忘れて、自らの習性になずんだことが、破滅を招来する結果になった。

カテゴリ: 政治 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
岡本隆司(おかもとたかし) 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)、『悪党たちの中華帝国』(新潮選書)など多数。
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