「君主号」の世界史
「君主号」の世界史(27)

東アジアの変貌

執筆者:岡本隆司 2019年4月6日
清朝の光緒帝(左)と、朝鮮国王の高宗(左)。いずれも東アジアが大きく変貌していく明治期に在位した

 

 明治日本をめぐる東西の矛盾の様相は、君主号とその翻訳で最も端的にみてとれる。たとえば、消え去った「大君」をとりあげてみたい。

君主号の矛盾

 欧米は当初から“His Majesty the Tycoon of Japan”と称した。majesty=majestasとはすでにみたとおり、至高の主権者を指す称号である。欧米はもとより「大君」をemperorとみなしていたし、emperorならmajestyとほぼ不可分だといってよい。

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執筆者プロフィール
岡本隆司 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)など多数。
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