「君主号」の世界史 (29)

孤立する帝国

辛亥革命後、「中華民国」大総統となった袁世凱は、のち「中華帝国」皇帝に即位する。その袁に、日本は「二十一カ条要求」をつきつけた

 

 東アジアの「大清帝国」は、あまりにも短命だった。1908年の「憲法大綱」から数年しかたたぬ辛亥革命で、1912年にあえなく滅亡したからである。「大清帝国」の「内閣総理大臣」袁世凱が、そこであらためて「中華民国」の「大総統(プレジデント)」に就任した。その袁世凱がまもなく帝制運動を試みて1915年末、皇帝に即位する。大清帝国ならぬ「中華帝国」が復活しかけたものの、それもけっきょく挫折した。

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執筆者プロフィール
岡本隆司(おかもとたかし) 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)、『悪党たちの中華帝国』(新潮選書)など多数。
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