「元政治家」監督が「ブラックユーモア」で描き出すジョージアの「今」

執筆者:前田弘毅 2019年1月8日
『葡萄畑に帰ろう』のワンシーン。「岩波ホール」ほかにて公開中、順次全国ロードショー。配給:クレストインターナショナル、ムヴィオラ

 

 ソ連時代より評価の高いジョージア(グルジア)映画界を代表するベテラン監督であるエルダル・シェンゲライア(ソ連期からの表記はシェンゲラーヤ。同じく映画監督である弟のギオルギ・シェンゲライアと区別するため、本稿では以下、適宜「兄シェンゲライア」とも記す)の新作『葡萄畑に帰ろう』が公開されている。

 1983年に撮影された『青い山 本当らしくない本当の話』はもう30年近く、筆者にとってジョージアという国を理解する上でもっとも重要な作品の1つであり続ける。さらに、後でその経歴でも触れるように兄シェンゲライアはソ連末期から政界で活躍し、国会副議長を長年務め、実に新作映画は約20年ぶりという。一見単純に見えて、実は非常に難解という、いかにも兄シェンゲライアらしい作品であり、また様々な問題を孕んだ問題作のようにも見える。背景が非常に複雑でありながら、ほとんど日本語で説明されていない点も映画鑑賞を難しくしている。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
前田弘毅 首都大学東京人文社会学部教授。1971年、東京生まれ。東京大学文学部東洋史学科卒業、同大学大学院人文社会系研究科博士課程修了、博士(文学)。大学院在籍中にグルジア科学アカデミー東洋学研究所に留学。北海道大学講師・客員准教授、大阪大学特任助教・招へい准教授、首都大学東京都市教養学部准教授などを経て、2018年より現職。著書に『多様性と可能性のコーカサス』(編著、北海道大学出版会)、『ユーラシア世界1』(共著、東京大学出版会)、『黒海の歴史』(監訳)『コーカサスを知るための60章』(編著)『イスラーム世界の奴隷軍人とその実像』(ともに明石書店)、『グルジア現代史』(東洋書店)など。ブログはこちら【https://www.hmaeda-tmu.com/】。
クローズアップ
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
クローズアップ
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 最新コメント
  • 最新トピック
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順
back to top