
足利義満は、「日本国王源道義」の称号を明の皇帝から得た
前回に論じたところをまとめてみると、日本人は「皇」「王」という漢語概念を同義とはいわないまでも、互いにかけ離れた意味内容をもつものとして意識しなかった。そうした無差別の語感は、国内的に君臣の別をはっきり分かつ機能があったと同時に、対外的には主観であれ、中国との対等を意識できる作用を果たしていた。
消えゆく「天皇」
そうはいっても、「皇」にせよ「王」にせよ、外来語の君主号であることに変わりはない。あくまで外向けのいかめしい、そもそも日本人になじみにくい表記である。中国・漢語との関わりから生まれてきたものだから、現実に中国との関係、あるいはその意識が希薄になっていけば、そうした字句そのものを使わない方向に転じても、不思議ではない。とりわけ「天皇」号がそうだった。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン