欧州「保守」が注目オーストリア最年少首相「極右懐柔」の正体

執筆者:花田吉隆 2019年2月7日
エリア: ヨーロッパ
オーストリアのクルツ首相(右)と極右・自由党のシュトラーヒェ党首。クルツ首相は極右政党を懐柔できるのか (C)EPA=時事

 

 ヨーロッパの保守陣営にとり、オーストリアのセバスティアン・クルツ首相は注目の的だ。ヨーロッパの保守はどこも混迷の最中にある。原因は言うまでもない、近年の極右政党の躍進だ。保守政党はどこも、極右という右からの脅威にさらされており、有権者をいかにつなぎとめるかがその最大の課題だ。

 こうなった直接の原因は、2015年の難民危機である。この時以来、難民受け入れに寛容な姿勢を見せることは許されなくなった。ドイツのメルケル政権を引き合いに出すまでもなく、寛容政策を掲げればたちどころに国民にそっぽを向かれる。人々はそれほどまでに難民の流入を恐れ、治安の悪化や伝統の毀損に敏感になっている。むろん、背景にはヨーロパ各国に広がる「不安」がある。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
花田吉隆(はなだよしたか) 元防衛大学校教授。1977年東京大学法学部卒業。同年外務省入省。在スイス大使館公使、在フランクフルト総領事、在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授などを歴任。
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