風が時間を
風が時間を(33)

まことの弱法師(33)

執筆者:徳岡孝夫 2019年3月17日
カテゴリ: 国際 文化・歴史 社会
エリア: 北米 日本

 アメリカの大学が厳しい理論闘争の場所であると私は言いたいのではない。特に学部生の間にはノンビリと学生時代を楽しもうという気風が漂っていた。

 これは男女交際とは無関係だが、室友と議論したことがある。男の学生が男子専用の体育館へ行くには素っ裸でなければならないと彼は言う。私はまさかと反対した。

 試してみようということになり室友と私は海水パンツを穿いて体育館へ出かけた。足を踏み入れるや否やスピーカーが大声で怒鳴った。

「その2人の男、薄汚いパンツを脱げ」

「ほらね」と室友は言い、私は驚きながら脱衣した。しかし実際は、あれを穿いていたほうが運動がしやすいのである。

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執筆者プロフィール
徳岡孝夫 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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