「米中首脳会談」の実相(下)突如方針転換した「強硬路線」

執筆者:野口東秀 2019年7月5日
エリア: 北米 アジア
自身の足元が揺らいだか(C)AFP=時事

 

 前稿(中)の最後で触れておいた中国元高官の言う「自給自足」。これは習近平政権が選んだ道だ。

 しかし、通信機器大手「華為技術」(以下、ファーウェイ)は、裏腹に米国の半導体産業に大きく依存しているのが実態だ。

 ファーウェイの調達先は世界で1万社(うち米企業は約1200社、日本企業は約100社)を超え、昨年の調達額は約700億ドルだ。 

 半導体企業などの育成政策を担う中国のシンクタンク関係者によると、ファーウェイ傘下の半導体設計会社「ハイシリコン」でさえ、中核半導体の技術を握る英半導体設計大手「アーム(ARM)ホールディングス」の技術に頼っていた。

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執筆者プロフィール
野口東秀(のぐちとうしゅう) 中国問題を研究する一般社団法人「新外交フォーラム」代表理事。初の外国人留学生の卒業者として中国人民大学国際政治学部卒業。天安門事件で産経新聞臨時支局の助手兼通訳を務めた後、同社に入社。盛岡支局、社会部を経て外信部。その間、ワシントン出向。北京で総局復活後、中国総局特派員(2004~2010年)として北京に勤務。外信部デスクを経て2012年9月退社。2014年7月「新外交フォーラム」設立し、現職。専門は現代中国。安全保障分野での法案作成にも関与し、「国家安全保障土地規制法案」「集団的自衛権見解」「領域警備法案」「国家安全保障基本法案」「集団安全保障見解」「海上保安庁法改正案」を主導して作成。拓殖大学客員教授、国家基本問題研究所客員研究員なども務める。著書に『中国 真の権力エリート 軍、諜報、治安機関』(新潮社)など。
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