引き裂かれた時を越えて――「二・二六事件」に殉じた兄よ

【特別連載】引き裂かれた時を越えて――「二・二六事件」に殉じた兄よ(2)「デスマスクが語るもの」(前編)

執筆者:寺島英弥 2019年9月6日
エリア: 日本
ありし日の対馬勝雄中尉(波多江さん提供)

 本連載の主人公、6月に104歳で他界した青森県弘前市の波多江たまさんの遺品の絵を、第1回目でプロローグとして紹介させてもらった。1936(昭和11)年2月26日に起きた「二・二六事件」で、蹶起した青年将校ら15人が陸軍衛戍刑務所で銃殺刑となった同年7月12日の朝。隣接する代々木原演習場の一角に仮設された遺体引き渡し所の絵だ。絵に書きこまれたメモに、「安田さんは、デスマスクを取っていた」とある。気になった読者もいることだろう。

「安田さん」とは、たまさんの兄、対馬勝雄歩兵中尉=享年28、青森県出身=らと一緒に刑死した安田優(ゆたか)砲兵少尉=同24、熊本県天草出身=の遺族のことだ。

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執筆者プロフィール
寺島英弥 ローカルジャーナリスト、尚絅学院大客員教授。1957年福島県相馬市生れ。早稲田大学法学部卒。『河北新報』で「こころの伏流水 北の祈り」(新聞協会賞)、「オリザの環」(同)などの連載に携わり、東日本大震災、福島第1原発事故を取材。フルブライト奨学生として米デューク大に留学。主著に『シビック・ジャーナリズムの挑戦 コミュニティとつながる米国の地方紙』(日本評論社)、『海よ里よ、いつの日に還る』(明石書店)『東日本大震災 何も終わらない福島の5年 飯舘・南相馬から』『福島第1原発事故7年 避難指示解除後を生きる』(同)。3.11以降、被災地で「人間」の記録を綴ったブログ「余震の中で新聞を作る」を書き続けた。ホームページ「人と人をつなぐラボ」http://terashimahideya.com/
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