「壁崩壊30年」でも成し遂げられない東西ドイツ「心の統一」(下)

執筆者:熊谷徹 2019年11月19日
エリア: ヨーロッパ
東ドイツの国境を越えて、西ベルリンに入る人々(1989年11月、筆者撮影・以下同)

 

 旧東ドイツ人の東西格差に対する不満は投票行動に表れている。

 旧東ドイツでは右翼政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の人気が旧西ドイツよりも高い。2017年の連邦議会選挙、今年の欧州議会選挙ともに、AfDは旧東ドイツ全体で20%を超える得票率を記録した。これは旧西ドイツでの同党の得票率の2倍を超える。

 今年9~10月にはザクセン州など旧東ドイツの3つの州で州議会選挙が行われ、AfDはいずれの州でも得票率を前回の選挙に比べて2~3倍に増やし、第2党となった。

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執筆者プロフィール
熊谷徹(くまがいとおる) 1959(昭和34)年東京都生まれ。ドイツ在住。早稲田大学政経学部卒業後、NHKに入局。ワシントン特派員を経て1990年、フリーに。以来ドイツから欧州の政治、経済、安全保障問題を中心に取材を行う。『イスラエルがすごい マネーを呼ぶイノベーション大国』(新潮新書)、『ドイツ人はなぜ年290万円でも生活が「豊か」なのか』(青春出版社)など著書多数。近著に『欧州分裂クライシス ポピュリズム革命はどこへ向かうか 』(NHK出版新書)、『パンデミックが露わにした「国のかたち」 欧州コロナ150日間の攻防』 (NHK出版新書)、『ドイツ人はなぜ、毎日出社しなくても世界一成果を出せるのか 』(SB新書)がある。
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