
撮影年不詳ながら、義江との離婚、独り立ちを決意した頃のあき(自伝『ひとり生きる』(ダヴィッド社、1956年)より)
捨てられた男に対する復讐とはどんなものなのか? あきは考える。
その男以上に夢中になるものができたとき復讐は成立するのではないかと、ぼんやり思う。
あきの場合、生活の糧とはいえ夢中になったのは、資生堂の仕事と、テレビ出演の仕事だった。
正直、テレビの謝金(ギャラ)だけでは暮らしていくのは無理だと思うが、資生堂美容部長としての仕事にテレビ出演はプラスに働く。チェーンストアの女主人や美容部員たちが以前にもましてあきの講演を熱心に聞くようになったことが何よりもうれしい。あきの話を聞きたいがために加盟店に加わったという人もいるほどだ。

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