灼熱――評伝「藤原あき」の生涯(88)

執筆者:佐野美和 2020年2月16日
カテゴリ: カルチャー
エリア: アジア
撮影年不詳ながら、義江との離婚、独り立ちを決意した頃のあき(自伝『ひとり生きる』(ダヴィッド社、1956年)より)

 捨てられた男に対する復讐とはどんなものなのか? あきは考える。

 その男以上に夢中になるものができたとき復讐は成立するのではないかと、ぼんやり思う。

 あきの場合、生活の糧とはいえ夢中になったのは、資生堂の仕事と、テレビ出演の仕事だった。

 正直、テレビの謝金(ギャラ)だけでは暮らしていくのは無理だと思うが、資生堂美容部長としての仕事にテレビ出演はプラスに働く。チェーンストアの女主人や美容部員たちが以前にもましてあきの講演を熱心に聞くようになったことが何よりもうれしい。あきの話を聞きたいがために加盟店に加わったという人もいるほどだ。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
佐野美和(さのみわ) 政治キャスター。東京都八王子市出身。株式会社チェリーブロッサムインターナショナル代表取締役。大学在学中、フジテレビの深夜番組として知られる『オールナイトフジ』のレギュラーメンバー「オールナイターズ」の一員として活躍した。1992年度ミス日本に選ばれる。TBSラジオのパーソナリティ、TBSラジオショッピングの放送作家を経て、1995年から2001年まで八王子市議会議員として活動。以後はタレントとしてテレビ出演のほか、講演会も精力的に行う。政治キャスターとしてこれまで600人以上の国会議員にインタビューしている。主な書籍に『アタシ出るんです!』(KSS出版)、『あきれたふざけた地方議員にダマされない!』(牧野出版)などがある。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top