
撮影年不詳ながら、義江との離婚、独り立ちを決意した頃のあき(自伝『ひとり生きる』(ダヴィッド社、1956年より)
家庭裁判所で離婚に向けた裁判が始まった。
テレビでの明るい笑顔はどこへやら、あきは冒頭からむせび泣く始末で、まるで娘時代に戻ったようだった。
昭和32(1957)年の離婚劇は現代とは違い、罪悪の念が非常に高いものだ。
あきは自分がこのような裁判所で白黒をつけようとしたことが、あまりに大胆なことだったとすっかり怖くなり後悔の念にかられた。
自分を正当化するために思う。義江を忘れていただけで憎んではいないのだ。そりゃ、女関係でどれほど苦しめられたかしれない。

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