【特別連載】アフリカ開発会議「TICAD」誕生秘録 (7・最終回)

薄氷を踏むが如き「成功の内幕」

執筆者:白戸圭一 2020年8月29日
タグ: 日本
エリア: アジア アフリカ
 
 

「今回の会議は、アフリカ諸国とアフリカの開発パートナーとが、アフリカ開発の今後のあり方について真剣な政策対話を行う場を提供するものであります。

 私は、こうした対話を通じて、自助努力に対するアフリカ諸国の確固たる意思が示され、また、それを支援する政治的コミットメントがアフリカの開発パートナーより示されることを強く期待したいと思います」

 1993年10月5日午前8時半、東京都港区の高輪プリンスホテル(現グランドプリンスホテル高輪)で始まった第1回「アフリカ開発会議(TICAD)」の冒頭、基調演説に立った細川護熙首相(当時)は、この会議が援助金額を約束する「プレッジ(Pledge)会合」ではなく、「政策対話を行う場=インテレクチュアル(Intellectual)会合」であることを主催国代表として明言した。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
白戸圭一(しらとけいいち) 立命館大学国際関係学部教授。1970年生れ。立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。毎日新聞社の外信部、政治部、ヨハネスブルク支局、北米総局(ワシントン)などで勤務した後、三井物産戦略研究所を経て2018年4月より現職。著書に『ルポ 資源大陸アフリカ』(東洋経済新報社、日本ジャーナリスト会議賞受賞)、『日本人のためのアフリカ入門』(ちくま新書)、『ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織』(新潮社)など。京都大学アフリカ地域研究資料センター特任教授、三井物産戦略研究所客員研究員を兼任。
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