安倍政権「半島外交」完全総括【韓国編】歴史修正・嫌韓・遺恨の8年

執筆者:平井久志 2020年9月12日
エリア: アジア
結局双方が歩み寄ることはなかった(左から安倍首相、文在寅大統領、朴槿恵前大統領)

 

 安倍晋三首相は8月28日、持病の潰瘍性大腸炎の症状悪化を理由に辞職を表明した。約7年8カ月という憲政史上最長政権のあっけない幕切れだった。

 国民の意思を反映した辞任でも、政策課題が達成できたということでもなく、任期満了などの政治的な区切りによる辞任でもなかった。むしろ、行き詰まり、実現不可能になった課題を放棄するための、病気辞任のように映った。

 安倍首相は、「拉致問題の解決」ができなかったことは「痛恨の極み」であり、「ロシアとの平和条約」と「憲法改正」ができなかったことは「断腸の思い」だとした。日朝関係については「拉致問題」を挙げただけで、最悪といわれる日韓関係については一言もなく、記者たちの質問にも上がらなかった。

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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