「インバウンド」一転「コロナ」で火の車「西武HD」強気経営の限界

執筆者:安西巧 2020年11月6日
エリア: アジア
埼玉西武ライオンズの球団オーナーも務める後藤高志・西武HD社長は強気一辺倒 (C)時事
 

 7年9カ月に及んだアベノミクスをタネ明かしすれば、低金利と円安誘導、それに無分別な財政出動に支えられた施策の列挙で大まかな説明がつく。

 その恩恵を存分に受けたのは、高株価で潤った投資家や空前のインバウンド(訪日外国人)ブームに踊った観光業者だった。前首相の安倍晋三(66)が政権に返り咲いた2012年に約836万人だった訪日外客数が、2019年には約3188万人と4倍近くに膨張。航空、鉄道、バスなど交通インフラはもとより、ホテルや飲食業、百貨店などの各業界が外国人客の旺盛な購買力で空前の収益を上げた。

カテゴリ: 経済・ビジネス 社会
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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