【北朝鮮社会の「思考」を読み解く】
北朝鮮社会を規制する「党の唯一的領導体系確立の10大原則」とは(1)「一色化」

執筆者:呉小元 2021年5月17日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
「10大原則」は、金正日(右)が金日成(左)の後継者の地位を確立した後、さらなる権力闘争のために作成された、という (C)AFP=時事
北朝鮮の行動を分析・予測するためには、その奥底にある価値観や世界観を知らなければならない。その意味で最も重要なのが、「10大原則」と呼ばれる文書なのだ――これまで大きく報じられることのなかったこの文書を、元帰国者で朝鮮労働党幹部を務め、その後脱北した筆者が解説する。

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総秘書(総書記)が権力を握ってから10年目になる。2代目の金正日(キム・ジョンイル)の死亡時には「世襲政治の終焉」「崩壊間近」などと希望的観測を唱えていた北朝鮮問題のプロたちは、今でもマスコミや論壇で「活躍」している。そればかりか事あるごとに「崩壊説」「異変説」を吹聴している。これは初代の金日成(キム・イルソン)死亡時と同じパターンの繰り返しだ。

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
呉小元(オソウォン) 64歳の男性で、元朝鮮労働党幹部。日本で生まれ、10代で北朝鮮に帰国した。平壌の大学卒業後、労働党傘下の貿易会社で働いた後、韓国に対する工作活動をしていた1990年代、韓国に亡命。現在は会社役員を経て定年退職。仮名。著書に『ハダカの北朝鮮』(新潮新書)。月刊誌『ファクタ』等に寄稿多数。
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