7月1日の中国共産党100年式典で、「中国の人民は、外部勢力によるいかなるいじめ、圧力、奴隷のように酷使されることを決して許さない」と習近平国家主席は言いました。
かつての米ソ冷戦と米中新冷戦の大きな違いは、たとえば双方が「民主」「自由」「互恵」といった共通キーワードを駆使する部分にあるでしょう。イデオロギー同士の衝突から、いわば同じ価値観の中での正統性を争う対立。それは非・正統とされた側には「いじめ」に象徴される被害者のイメージを生み、またそのイメージによって正統性を逆転しようという捻れた動機も生み出します。
挑戦者としての権威主義、そしてしばしばそこに付随するポピュリズムの拡大に、いま私たちはどう向き合うべきなのか。
今週は本日配信したエリカ・フランツ氏(ミシガン州立大学政治学部助教授)の「我々はいかに権威主義に立ち向かうべきか」を皮切りに、特集「権威主義からの挑戦」をお届けします。
明日からの寄稿者とタイトルは以下の通りです。価値観外交時代の国際情勢を読み解く羅針盤としてご一読ください。
◎『シンガポール「ポスト・リー・ファミリー」時代への転換(久末亮一/ジェトロ・アジア経済研究所副主任研究員)
◎『EUで「オルバン政権」が築く反逆のモデル』(山本直/日本大学法学部教授。)
◎『エチオピア「新自由主義的権威主義」は新たな政治モデルとなるか』(遠藤貢/東京大学教授)
◎『コロナ禍で露呈したプーチン「ロシア式権威主義」の限界』(マクシム・クリロフ/国際ジャーナリスト)
◎『いま改めて問われるソフトパワー外交の「共感力」』(五十嵐文/読売新聞国際部長)
フォーサイト編集長・西村博一
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