「日本製鉄vs.宝山鋼鉄・トヨタ」訴訟の隠れた意味を「対中封じ込め」で読み解く
【特別企画】激動経済:「米中産業冷戦」の時代 (第4回)
日本製鉄が中国・宝山鋼鉄とトヨタ自動車の2社を電気自動車(EV)などのモーターに使う無方向性電磁鋼板の特許侵害で東京地裁に提訴した。「日本対中国」「鉄鋼最大手と自動車最大手」の二重対立の複雑な衝突にみえるが、米中産業冷戦の文脈で読めば構造は意外に単純だ。中国メーカーの高付加価値鋼材とEVの日本市場への進出を食い止めるための日本産業界挙げての知財戦略といえるからだ。日鉄が宝山の電磁鋼板とそれを使った中国製EVの対日輸出を差し止めることはトヨタはじめ日本の自動車業界の望むところであり、トヨタは国内販売のEVに日鉄の電磁鋼板さえ使えば販売差し止めの影響はない。それ以上に重要なのは、素材、キーデバイスなど産業の上流で、中国を抑え込もうとする日米欧の戦略の高度化である。
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