歴史的「名門商号復活」でも「日本製鉄」の前途大荒れ

執筆者:安西巧 2019年4月2日
エリア: アジア
新社名と同時に就任した橋本新社長だが、前途は多難すぎる(C)時事

 

 4月1日、鉄鋼最大手の名門「新日鉄住金」は、「日本製鉄」へ社名変更した。

 敗戦から5年後の1950年に財閥解体によって旧日本製鉄が八幡製鉄や富士製鉄など4社に分割・解体されて以来、実に69年ぶりの商号復活となる。1970年には八幡・富士合併による「新日本製鉄」へ、2012年には住友金属工業の事実上の吸収合併による「新日鉄住金」へと規模を拡大。頭打ちの国内鉄鋼市場の“ガリバー”から、世界で闘える鉄鋼メーカーへの脱皮を図ってきたが、19カ国に製鉄所を構える世界首位の「アルセロール・ミタル」(ルクセンブルク)や自国内に成長市場を抱える2位の「宝武鋼鉄集団」(中国)の背中は遠ざかるばかりだ。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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