「平和構築」最前線を考える
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キッシンジャーがダボスで語った新たなウクライナの「正統性」と欧州の「均衡」(上)

ダボス会議にオンラインで登場し、ウクライナ情勢について語ったキッシンジャー氏(「世界経済フォーラム」HPより)
先月開催された「世界経済フォーラム」(ダボス会議)において、ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官がウクライナ情勢について語ったことが話題になった。キッシンジャー氏がウクライナに「領土の割譲」を迫った、と報じられたのである。これにウクライナのドミトロ・クレーバ外相やウォロディミル・ゼレンスキー大統領が反発する発言を行ったため、話題が増幅した。
報道だけを見ると、あたかもキッシンジャー氏が野心的に論争的な発言をしたかのようだが、実際の当日のやり取りの書き起こしを読んでみると、むしろだいぶ違う印象を受ける。キッシンジャー氏が領土について直接ふれた経緯はない。また同氏が用いた表現も、かなり含意のある複雑なものだ。

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