民主主義に潜在する暴力と、安倍晋三という「妥協点」の喪失

執筆者:論壇チャンネルことのは 2022年8月30日
タグ: 日本 安倍晋三
エリア: アジア
民主主義は本来、「暴君は殺されなければならない」という精神も宿している。ゆえに安倍元首相への銃撃は、「民主主義に対する挑戦」という捉え方では整理しきれないと言えるだろう。そもそも安倍氏の強権は制度改革の帰結であり、その安定は左右の「妥協」の産物だった。その「妥協点」を失った日本政治は、さらなる分断と対立へと漂流する危険もある。呉座勇一氏と河野有理氏が語る「暗殺・陰謀論・歴史」。

*お二人の対談内容をもとに編集・再構成を加えてあります。

「暴君は殺されなければならない」という共和主義の精神

河野 安倍晋三元首相銃撃事件が、民主主義に対する挑戦であり、ある種の政治テロだったと言うのは事実としても、その一方で山上徹也容疑者の行動に対して内心では共感を覚える人もいるのだろうと思います。私自身はそれにまったく同意しませんけれども。

呉座 おそらくそうでしょうね。戦前の5・15事件では、国民的な減刑嘆願運動が起きて、それに影響されて異例の軽い判決が出されています。

カテゴリ: 政治
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