受信料引き下げに秘められたNHK「インターネット本格参入」の野望

執筆者:町田徹 2022年10月17日
エリア: アジア
総務省やNHKの衣の下から鎧が覗く[受信料の値下げ方針について記者会見で説明する前田晃伸NHK会長=10月11日](C)時事
「受信料1割値下げ」と同時に打ち出された「民放とのインフラ共有化」提案に、民放側は胸中複雑。資金負担では渡りに船だが「NHKの本来業務の見直し」とのバーターではないかとの警戒感が広がっている。焦点はインターネット事業への本格参入。総務省を中心に議論が進むが、現在のNHKにその自由を与えるのは危険すぎる。

「視聴者への還元として、来年10月から受信料の1割値下げを実施する」――。10月11日、NHK(日本放送協会)は夜の看板ニュース番組などで、自局の経営委員会が、テレビを持つ国民に支払いを義務付けている受信料の引き下げを盛り込んだ経営計画(2021~2023年度対象)修正案を了承したと伝えた。

 ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源・農産物市況の高騰と円安を引き金にした物価高に苦しむ庶民にとっては、嬉しい稀有な値下げのニュースである。

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カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
町田徹(まちだてつ) 1960年大阪生まれ。経済ジャーナリスト、ノンフィクション作家。神戸商科大学(現・兵庫県立大学)卒業後、日本経済新聞社に入社。米ペンシルべニア大学ウォートンスクールに社費留学。雑誌編集者を経て独立。「日興コーディアル証券『封印されたスキャンダル』」(『月刊現代』2006年2月号)で「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」大賞を受賞。著書に『電力と震災 東北「復興」電力物語』『行人坂の魔物 みずほ銀行とハゲタカ・ファンドに取り憑いた「呪縛」』などがある。2014年~2020年、株式会社ゆうちょ銀行社外取締役。2019年~、吉本興業株式会社経営アドバイザリー委員。
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