中国は「一帯一路」不良債権化のリスクをどう乗り切るか

執筆者:岡嵜久実子 2022年11月7日
エリア: アジア
2022年1月9日、スリランカ最大の都市コロンボで港湾開発事業を視察する中国の王毅外相。スリランカは5月19日に国家としてデフォルトに陥った (C)EPA=時事
途上国の過剰債務問題がくすぶり続けている。デフォルトに陥ったスリランカをはじめ、「一帯一路」の旗印のもとで積極的な対外投資を進めた中国の対外資産がダメージを受けることは避けられない。ただし、対外資産の急増は2016~2017年を境にピークアウトしており、この問題が中国経済の屋台骨を揺るがすと見るのは早計だ。

 中国共産党はこのほど全国の党員代表を招集し、第20回全国代表大会(以下、党大会)を開催した(10月16日~22日)。党大会初日には、習近平総書記が党指導部を代表して、これまでの党の活動実績を総括し、今後の運営目標などを提起する報告を行った。今大会は、習氏が総書記の任(1期5年)を2期務めた後ということもあって、報告では2012年の第18回党大会以降の10年間を振り返ることが多かった。

高度経済成長終焉後の「新時代」

 習総書記は報告の中で、この10年間に生じた歴史的意義を有する出来事として、①共産党創立百周年を迎えたこと(2021年)、②中国の特色ある社会主義が新時代に入ったこと、③貧困からの脱却と小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的建設という百年目標を達成したことを挙げ、党の功績として高く評価した。また、10年前の中国は、それまでの努力が大きな成果を挙げ、さらなる発展のための基礎固めができていた一方で、長い間に蓄積した問題と新たに生じた問題の解決が待たれる状況にあったと説明し、党指導部は情勢を推し量りながら困難に立ち向かってきたと強調した。習総書記が総括した党の実績評価をどう捉えるかはさておき、この10年間に中国が経済成長路線や対外経済運営方針などについて、大きな調整局面に立たされてきたことは確かである。

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カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
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執筆者プロフィール
岡嵜久実子 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。1984年3月、東京外国語大学外国語学部中国語学科卒業。同年4月、日本銀行入行。1997年6月以降、香港事務所次長、国際局シニアエコノミスト、金融研究所シニアエコノミスト等を歴任。この間、外務省経済局(2001年3月~2003年3月)、米国ランド研究所(2006年4月~2007年10月)、中国人民銀行上海総部(2011年10月~2014年8月)に、調査研究員として出向。在学・在職中に、北京語言学院(1982年)及び香港中文大学(1993年)に留学。2016年4月より現職。
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