欧州が脱ロシアから追求するエネルギーの「戦略的選択」(下)――エネルギー安全保障と、そのさらに先にある脱炭素

脱ロシアを優先したことで脱炭素は一時的な後退を強いられている[褐炭火力発電所の隣に立つ風力発電機=2022年1月11日、独グレーベンブロイヒ近郊](C)EPA=時事
ロシアによるエネルギーの武器化を含めたエネルギー危機の深刻化によって、欧州はまさに「戦時経済」に引き込まれることになった。エネルギー価格の高騰は、各国の景気にも大きな足かせとなっている。そうしたなかで欧州は、脱ロシア化やエネルギー安全保障という課題に向けて、いかなる舵取りをしようとしているのか。
実態として進む脱ロシア:いま問われるべきこと
本稿「上」でみたように、EUはロシアからの石炭・石油に加えて天然ガスの輸入禁止(禁輸)に関する決断を迫られる前に、ロシアが輸出を大幅に削減してきたため、結果として、強制的に脱ロシアをほぼ実現してしまったというのが実態である。

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