尹政権に「元徴用工問題」解決を急がせる「安保協力」への思惑

執筆者:佐藤大介 2023年1月31日
タグ: 韓国 日本
エリア: アジア
12日、韓国・ソウルの国会前で、元徴用工問題の公開討論会に先立ち、韓国政府の取り組みを批判する原告側支援者ら(C)AFP=時事
 
韓国の尹政権が元徴用工問題に関して、政府傘下の財団が賠償金を肩代わりするという解決案を示した。野党や世論も反発する中、日本に譲歩したのはなぜなのか。

 日韓の関係悪化の要因となっている元徴用工問題を巡り、韓国政府が解決案を公表した。韓国最高裁が日本企業に支払いを命じた賠償金について、韓国政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」が肩代わりするという内容だ。財団には1965年の日韓請求権協定による経済協力金で成長した鉄鋼大手ポスコなどの韓国企業が寄付金を出している。請求権協定と矛盾しない形で日本企業の資産現金化を回避する精いっぱいの案と言えるだろう。 

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カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
佐藤大介(さとうだいすけ) 共同通信社 編集委員兼論説委員。1972年、北海道生まれ。明治学院大学法学部卒業後、毎日新聞社を経て2002年に共同通信社に入社。韓国・延世大学に1年間の社命留学後、09年3月から11年末までソウル特派員。帰国後、特別報道室や経済部(経済産業省担当)などを経て、16年9月から20年5月までニューデリー特派員。21年5月より現職。著書に『ルポ 死刑 法務省がひた隠す極刑のリアル』 (幻冬舎新書)、『ドキュメント 死刑に直面する人たち――肉声から見た実態』(岩波書店)、『13億人のトイレ 下から見た経済大国インド』(角川新書)、『オーディション社会 韓国』(新潮新書)などがある。
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