
「この戦争が一日も早く負けるよう祈った」と語ったのは、第55代内閣総理大臣の石橋湛山だ。湛山は1945年8月の敗戦の随分前から、日本の再興策を思案した。そうした大胆な構想力を政策に反映させようと6月1日、「超党派石橋湛山研究会」の初回の勉強会が永田町で開かれた。集まったのは各党の国会議員約40人、いずれも政策通とされるメンバーが名を連ねた。
呼びかけ人は、自民党の岩屋毅元防衛相、立憲民主党の篠原孝氏、国民民主党の古川元久国対委員長の3人だ。メンバーは自民、公明、立憲、維新、国民などから50人規模に増えると見込まれている。自民党の石破茂元幹事長や古川禎久元法相など実力者も加わっており、確かに数ある超党派議連と一線を画した政策集団の素地はある。
「アベノミクスは問題先送り。戦後に得たものをすべて使い切り、令和は残っているものがほぼなくなった」とする古川元久氏は、対米などを意識した「独立自尊」、多様性を受け入れる「寛容」、「現実主義」の3本の柱を前面に出す。
他方、「(湛山研究会は)将来の政治的な核をつくる素地になる」と語るのは、古川元久氏とともに「古古(ふるふる)コンビ」と呼ばれる古川禎久氏だ。「危機に直面した時に機動的に迅速に的確に舵を取っていかなければいけない。そのためには保守中道勢力が結集して必要な法律を短期間で成立させられる体制が必要だ」と思いの丈を述べている。古川禎久氏自身は政界再編を念頭に置いていないが、議員の間に高まる問題意識を「地殻変動のような動き」と表現した。
2人は財政への強い懸念を共有している。……

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。