Weekly北朝鮮『労働新聞』 (49)

初めて存在が公になった「外相補佐室」、プーチンは「早い時期に」訪朝か(2024年1月21日~1月27日)

執筆者:礒﨑敦仁 2024年1月29日
エリア: アジア
金正恩国務委員長は「地方発展20×10政策」に関する問題を討議し決定するために党中央委員会政治局拡大会議を招集したという(『労働新聞』HPより)
第8期第19回政治局拡大会議にて金正恩・党中央軍事委員会委員長は、地方発展のために人民軍部隊を動員する命令に署名した。今回の拡大会議は、平壌ではなく風光明媚な妙香山で開催された。崔善姫外相を支える「外相補佐室」なる組織の存在も初めて公にされ、プーチン露大統領による早期訪朝の用意が報じられた。『労働新聞』注目記事を毎週解読
 

 1月15日に金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が施政演説で打ち出した「地方発展20×10政策」についての報道が続いている。25日付は、23日と24日の両日に「地方産業発展の画期的な里程標を確定、明示」することを目的として朝鮮労働党中央委員会第8期第19回政治局拡大会議が開催されたことについて詳報した。

 会議では金正恩が、「地方人民に基礎食品と食料品、消費財をはじめとした初歩的な生活必需品さえ円満に提供できていないことは、今日わが党と政府において到底無視できない深刻な政治的問題」だと指摘し、「私は必ず地方工業発展の実際的な変化を成し遂げることで人民の期待に少しでも応える」と抱負を語った。そして、党中央軍事委員会委員長命令「地方工業革命を起こすことについての党中央委員会第8期第19回政治局拡大会議決定貫徹闘争に人民軍部隊を動員することについて」に署名した。経済建設には軍の動員が欠かせない。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、共著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)など。
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