大きく勝ちたければ大きく賭けよ? 欧州政治ギャンブリング
Foresight World Watcher's 6Tips

欧州議会選挙の結果を受け、エマニュエル・マクロン仏大統領が唐突に発表した議会解散を理解する一つのポイントは「コアビタシオン(保革共同政権)」にあるでしょう。総選挙を経て野党出身の首相が誕生すれば、政治の主導権は大統領から首相に移ります。しかし、それは世論の不満が首相に集まることも意味します。大統領はこれをバネに復活を狙うというフランス第五共和政に特徴的な力学を、窮地のマクロン大統領は当てにしていると見られます。ではその勝算はどうなのか、注目の記事をピックアップしました。
14日までのG7サミットに集まった首脳は米とともに仏英が自ら選挙戦の最中であり、10月末に任期切れを迎えるウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長も続投を目指し欧州議会での駆け引きが始まります。サミットで議長を務めたジョルジャ・メローニ伊首相は同氏が率いる「イタリアの同胞」が欧州議会選で大勝し、国際政治の舞台で急速に存在感を増してきました。「欧州とは、政治が混乱しているときに大きく勝つには大きく賭けなければならない大陸なのだ」とは英「エコノミスト」誌の解説です。ブレグジットという大ギャンブルに出た英国人ならではの弁と言うべきか。
フォーサイト編集部が週末に熟読したい海外メディア記事6本、皆様もよろしければご一緒に。
What Was Macron Thinking?【Robert Zaretsky/Foreign Policy/6月12日付】
「そしてやってきたのは余震だった。結果発表から1時間もしないうちに、エマニュエル・マクロン大統領は国民議会の解散と総選挙の日程調整を宣言したのだ。この発表は、彼のすべての反対派だけでなく、彼自身の政党の有力者の多くまでをも動揺させた」
「マクロン大統領でさえ、先月まで『EU[欧州連合]議会選挙の影響が及ぶのは欧州にとってのみであり、フランスには影響がない』と主張しており、今回の自身の決断を予測できていなかったようだ」
欧州議会選挙での右派の躍進を受けて、フランスのマクロン大統領が突然の議会解散に打って出たことは世界を驚かせた。米「フォーリン・ポリシー」誌サイトに寄せた「マクロンは何を考えていたのか?」(6月12日付)で、同ヒューストン大教授のロバート・ザレツキーは、彼の選択に疑問を寄せている。……

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