
[フランクフルト発/ロイター]アメリカの人気歌手、テイラー・スウィフトがヨーロッパを席巻している。ダブリンからウィーン、さらにはその先にいたるまで数十回に及ぶ公演はいたる所で完売。思いもかけぬ経済効果に言及する識者も現れはじめた。
だが、いかに彼女が音楽業界に革命を起こすメガスターであろうと、ライブの興奮が冷めてみればその経済的利益は微々たるものだ。
たとえばスウェーデンのストックホルム。5月に行なわれた彼女の3回の公演には、のべ18万人近いファンが押し寄せたうえ、その半数は海外からで8億5000万クローナ(130億円)近い売り上げをもたらした。
わずか3日間としては素晴らしい金額だ。しかし、年間GDP(国内総生産)は6230億ドル(100兆円)で欧州連合(EU)内8位と控えめなスウェーデンの経済規模から見てさえ、バケツの中の一滴に等しい。
ストックホルム商工会議所でチーフエコノミストを務めるカール・ベルクヴィスト氏は次のように語る。「ストックホルム、なかでもその観光部門にとって、この売上高は週末の大きな追い風となる」「ただし、それもあくまで“ある週末”の話であって、経済成長全体に顕著な影響を及ぼすわけではない」。
確かにホテルやレストランは荒稼ぎを果たし、スウィフト・ファンのマストアイテムになりつつあるカウボーイハットの売り上げも155%急増したと商工会議所は見積もっている。
それでも、物価への影響も取るに足らぬもので、1年前にビヨンセがこの街でコンサートを行なった際に

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